年の瀬 春日山 歩き納め レポート

2017年となりました。皆様今年もどうぞ宜しくお願い致します。
2016年末は、急に思い立った「歩き納め」で活動を締めくくることができました。
この日のレポートをつらつらと書き連ねようかと思います。

12月30日。朝9時の集合場所に20分前くらいに到着すると、すでに到着した参加者の方が。その後もパラパラとお集まりいただき、少し時間を押しましたが、無事全員集合。この日は、奈良県内と近畿圏から総勢5名の皆様。ゆっくり歩いてコミュニケーションをとるには最適な人数です。
コース説明を簡単にしたのち、自己紹介をしてから軽く体操。その後、春日大社を参拝しました。
初詣対応の春日大社は、嵐の前の静けさといったところ。普段歩ける場所が通行禁止となっていたり、物々しさを感じさせるほどでした。

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春日大社の境内地を抜け、高畑から滝坂の道(旧柳生街道)へ。冬の森は、普段の生い茂る春日山に比べると明るいものの、天気は少し曇り空。冬の空気で冷えるもののまだまだ皆さん元気です。

滝坂の道の原始林入り口付近で、はじめに体のチューニングから始めました。目を閉じ、音に耳を澄ましてから、風の吹く方向や光の方向などを感じてみます。参加者の皆さんが気になったのはフカフカの「苔」。ここでルーペによる観察が始まりました。普段意識しない苔の美しさに触れ、地面や樹皮の苔を思い思いに観察しました。

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その後も滝坂の道を歩きながら、ナラ枯れや鹿の採食による影響についてなど交えながら、春日山の自然を楽しみながら歩きます。途中の石仏や岩場に残された原始林の本来の植生を垣間見つつ、動物の食べ痕をみつけたり、ルーペで苔を覗いたり、音に耳を澄ましたり。春日杉の大木に歴史を感じたり。どんよりとしていた空も徐々に晴れてきました。

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お腹も空き、少し冷えてきたところで昼食としました。場所は日当たりの良い地獄谷新池のほとり。
お弁当を食べながらも、春日山のことだけでなく、お互いのことや自然のことなど交流が深まりました。

昼食を終えてからは、春日山石窟仏へ。全部で18体の石仏がどこに位置しているかを探したり、どんな人がつくり、この場所が昔どんな風景出会ったかを想像して楽しみました。

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ここからは、奥山ドライブウェイを歩きます。僕自身もここ最近歩いていなかった奥山ドライブウェイ。高く高く背を伸ばしている杉のほか、自由に巻きつくフジをはじめとする蔓植物や、木々の上部に差し込む木漏れ日の美しさを楽しみました。鏡を使って視点を変えて森を歩くなどの遊びも取り入れながら、ズンズン歩きます。

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世界遺産の石碑部分で改めて、春日山が「世界文化遺産」であることの意義やなんかを僕自身の考え方とともにお伝えしました。やはり「自然遺産」と思っていた方も多く、春日山の客観的な価値をしっかり伝えることができました。大原橋を曲がって鶯の滝方面へ。時間は14時前くらいとなり、徐々に体が冷えてきました。

鶯の滝は、佐保川の源流にあたる小さな滝。小ぶりですが姿は美しい滝です。この日は、それまでの雨量が一定量あったからなのか水量が多く、普段歩ける滝付近も水が上がってきていました。皆さん思い思いに滝のエネルギー(?)を浴びていらっしゃいました。せっかくなのでここで集合写真。日差しも陰り始めました。

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鶯の滝から奥山ドライブウェイまで戻り、若草山山頂を目指します。周辺はナラ枯れ被害などにより、大きな木が伐採されたため、閑散とした雰囲気です。ほどなく、檜皮採取が行われている人工林エリアに入りました。ここでは、大きなヤマザクラが。
周辺の木々も含め葉を落としているこの季節だからこそ感じられる樹形の美しさと、雄大さを感じました。

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太陽は西へと傾きかけ、北側に位置するドライブウェイでは、木々の上部だけに光が射します。杉の巨木と、倒れた切り株の上から別の樹種が大きく伸びていく倒木更新の様子を見ながらいよいよ若草山駐車場まで到着。

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若草山山頂は、予想通りの寒さと、予想以上の美しい光景が待っていました。ここで温かいほうじ茶とちょっとしたおやつを食べつつ、夕焼けの時間までしばし過ごすことにしました。御蓋山と春日山の違い、鶯塚古墳のある三角点にも登り、奈良盆地を一望できる風景を堪能しました。

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この日の日没は16時50分。徐々に暮れゆく空を、参加者の皆さんで「あ〜きたきた」とかなんとか言いながら、ゆっくりと見つめました。

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夕暮れて、体も冷えきってしまい(汗)。ここからは、薄暗くなった森を一気に下っていきます。春日山遊歩道へ戻り、コジイの樹冠や木々のシルエットを眺めながら黙々と下ります。これまでの道程でみつけたムササビの食べ痕から、「もしかしたら、出会えるかも」と期待しながら歩いていると、「グルグルグル」という声が。ムササビです。懐中電灯で探すと、2頭のムササビの姿を見ることができました。しばらく観察していましたが、残念ながら滑空する姿を見ることはできませんでした。

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そこからは、ほぼ真っ暗になった森を抜け、遊歩道を出てゴール地点の水谷茶屋へ。到着したのは17時半過ぎ。朝9時から丸一日。ゆっくりでしたが
歩き通しとなりました。それでも皆さん、素敵な笑顔で「楽しかった」と言ってくださいました。

今回はじめて、原始林をぐるっと回るツアーを行いました。時間はかかりましたが、原始林の魅力をしっかりと感じてもらうことができたんじゃないかと思っています。今後も、これをフルバージョンとして、幾つかのコースに区切りながらツアーをやりたいと思いました。

また、今回も本当に参加いただいた方々に助けられて良い時間になりました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

おまけ:解散後、春日大社から東大寺方面へと参加者の数名の方々と歩いているとムササビを再び発見。今度は滑空する様子もバッチリ見ることができました。ムササビを見るなら奈良公園がベストかなと感じました。

※今回使用した写真は、一部参加者の方よりご提供いただきました。

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